日本の品種を約100日間かけて育てた「園地指定 ニュージーランド産かぼちゃ」。
話を聞くと、食べる人を第一に考えた農業の姿勢が見えました。
南半球に位置するニュージーランド(NZ)の春は10月。日本が秋を迎える頃、ニュージーランド北島の北東部・ギズボーン市では、「園地指定 ニュージーランド産かぼちゃ」の種まきが始まります。生産会社"THREE GOOD MEN(スリー グッド メン)"のオミ・バッザーさんは、20歳からこの地で20年かぼちゃを生産しています。マーケティング・マネジャーのグレッグ・クロスさんと、オミさんに話を聞きました。
「私たちが育てるかぼちゃは日本の品種『ほっこり』で、日本の種を正規ルートで購入し育てたものです。ニュージーランドでは、約40年前から日本のかぼちゃを生産しています。ほくほくで甘味が強く、ちょっと栗みたいでしっとりした食感のかぼちゃです」とグレッグさん。
「ギズボーンは、日本の北海道に気候が近いと思います。雨は降るけれど湿度は低く、昼夜の寒暖差が激しい。虫の発生も少ない。私は日本の生産者に負けないかぼちゃを作りたいと思っているんですよ」とオミさん。
ニュージーランドのかぼちゃ生産は、私たちが思い浮かべる日本の農業とは少し勝手が違っています。GPSを使った自動種まきや、収穫には翼を広げた巨大な鳥のような横幅20m近くの農機が登場。一台の農機に10人以上が携わって収穫します。土は同じ野菜の栽培を続けると養分が乏しくなるため、2~3年かぼちゃを育てたらその後2~3年はとうもろこしを育てたり休ませたりしています。生産して終わりではなく、どうやって長く農業を続けていくか(持続可能か)が大事です。
「私の農業のキーワードは、カスタマー ハピネス(お客さまの幸せ)。組合員の皆さんが望む、安全でおいしいものを作りたいと思っています。どうしたら日本の若者にもっと食べてもらえるかもとても大事。レシピを紹介する活動もしています。作り手みんなも幸せに働けるように、10年・20年先のことも考えながら仕事をしています。
2020年は日本へ行けませんでしたが、日本でどのように売られているのかを実際に行って見て、組合員の皆さんの感想を聞いて、生産に生かしています」とオミさん。最後に「丹精込めて作ったかぼちゃです。ぜひ一度食べてみてください!」とメッセージをくれました。ぜひお好みの食べ方で召し上がってみてください。
かぼちゃの栽培に適した土かを調べます
10月上旬から12月下旬まで毎週種をまきます。初めは約2週間で発芽し、暖かくなってくると1週間で発芽するように。種まきと除草を繰り返します。種まきから収穫までは約100日間です
12月上旬、最初に種まきしたものは花が咲く頃。ミツバチがたくさんいるので受粉してくれます
受粉から35~40日経つ1月からが収穫の時期。収穫の1週間前にサンプルを取り、糖度(8~9度)・水分値・成熟度・実の色・種を調べます。あとは茎がコルクのような質感になったら収穫の合図。収穫は横幅20mの農機で葉を刈り、人が12人横一列になって手で収穫していきます
ベルトコンベアーに載せ、600kgずつ木箱に入れたら、2日置いて土を乾燥させ、パッキング工場へ。水圧洗浄し土を落とし、ブラシをかけます
大きさ・重さ・形が基準に合ったものを出荷します。収穫から日本に着くまでは約3週間。その間にかぼちゃのでんぷんが自然と糖に変わっていき、日本に着く頃には糖度12~13度のかぼちゃに!
【広報誌2021年2月号より】