“収穫後に温度が上がったり下がったりするのが一番良くない”という
デリケートな「産直レタス」。
3日間という短い収穫適期を逃さず、みずみずしいまま組合員の皆さんにお届けするため、
生産者は夜明け前から仕事をしていました。
鮮度の良いシャキシャキのレタス、組合員の皆さんはお好きですか?
群馬県の中央に位置する赤城山のふもと、利根沼田農業協同組合(群馬県沼田市、以下JA利根沼田)には20代から70代まで約40軒、産直レタスの生産者がいます。
株式会社ツノダファームの3代目・角田拓弥さんは現在42歳。JA利根沼田レタス部会の部会長です。角田さんは26歳で家業に入り、現在はご両親・社員・パートさんと、インドネシアとベトナム出身の特定技能外国人の合計17人で、葉物野菜を育てています。
「祖父がこの地を開拓し、芋やあわなど自分たちの食物を作るところから始めました。需要に合わせて徐々に栽培するものが変わり、現在はレタス、ほうれん草、小松菜、白菜などを作っています。近年この辺りも真夏は暑いものの、標高は300~800mくらいで、多少の涼しさと水はけの良さが葉物野菜の栽培に向いていると思います」と語る角田さん。
苗はまずJA利根沼田の育苗センターで種まきから約1カ月間育てられ、生産者のもとへやって来ます。それをそれぞれの生産者が大事に育てていきます。畑に植えてから夏場は40~50日、寒い時季は70日ほどかけて産直レタスは収穫を迎えます。
レタスを良い状態でお届けするために必要なことを聞きました。
「お手元へ届くまでに、温度が上がったり下がったりするのが一番良くないんです。そして収穫の適期は3日間。気温や湿度によっては急成長して規格外になってしまったり、品質に影響します。なので一番気をつかうのは収穫です。収穫は気温が上がらない午前3時から朝まで。温度を上げることなくみずみずしい状態で出荷できるようにしています」と角田さんはいいます。
JAに出荷されたレタスは真空予冷装置に入れられしっかり芯まで冷やした後、冷蔵のトラックでコープに届きます。首都圏まで約2時間で届けられる立地も強みです。
「この地域はどの農家さんも大規模で、がんばればがんばっただけの見返りがある仕事になっています。新しいトラクターを買えたときは、生産性も上げられるのでうれしいですね。生産者仲間には同級生もいて、ライバルではあるのですが情報交換したりいろいろな話をしながら切磋琢磨しています。仲間がいるから楽しいです。あとは最近、中学生の長男が自分も農業をやりたいと言ってくれたことがうれしかったです」と角田さんは仕事への思いを語ってくれました。そして最後にこう続けました。
「サラダなど生で食べていただくのは定番だと思いますが、私は加熱して食べるのも好きです。たまごとの組み合わせが好きで、たまごスープや、チャーハンに入れるとおいしいですよ。あとはみそ汁。ぜひ火を通しても食べてみてほしいです!」
まずは鮮度のわかるそのままの味わいを、そして角田さんおすすめの、加熱したレタスの味わいもぜひお試しください。
前年の収穫が終わった後、別の作物を植えることで連作障害を防ぎ土壌の改善ができるため、麦をまいて育てます。
レタスの苗を植える前に育った麦を刈り、そのまま畑にロータリーですき込みます。肥料もまきます。
JA利根沼田の育苗センターで、播種から1カ月間苗は育てられています(写真A・B)。
そして角田さんの場合、苗が届いてからさらに自分の手元で1週間くらい育てて4~5cmほどになったら畑に植えます。
畑にマルチ(ビニール)を敷いてから(C)歩行型の定植機で植え(D)、植え始めのまだ寒い季節には布(寒冷紗)をかけて苗を保温し、風からも守ります。茎が細い時期はポロッと折れてしまうことがあるからです。
布は桜が咲く4月上旬から中旬には外します。この頃には茎もしっかりと太くなってきます。
そして4月後半には虫・病気から守るため防除を行います。
収穫の適期を逃さないよう1週間の気温や湿度を見て予測を立て、収穫時期を決めています。
みずみずしいまま届けるために、角田さんの場合は収穫を午前3時から開始します。暗いうちは投光器で畑に光を当てて、収穫と同時に検品して箱詰めし、JA利根沼田に出荷(写真E)しています。
【広報誌2024年5月号より】