コープながのの広報誌「Socia(ソシア)」2022年11月号

コープながのの組合員広報誌「Socia(ソシア)」をご紹介します。生活協同組合コープながの


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エピソード28キャッチボールの始まりにコープデリグループの組合員数は約520万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。おたきう田光こコープデリ小山センター(栃木県)で宅配商品の配達業務を担う塩し希さん。大学を卒業後コープに就職したのは、子どもの頃の記憶があったから。「僕の母が宅配を利用していて、配達に来るお兄さんとよく話すのが楽しかった。お兄さんも、仕事を楽しんでいるように見えました」と話す。嫌いだった魚も、コープの骨取り魚がきっかけで食べられるようになった。4年半前、入職して配属されたのは宇都宮センター。その2年後に、配達先のひとつが、聴覚障がいのある組合員・豊島さんのお宅になった。70代くらいの女性で、ほんわかとした雰囲気の優しそうな人だった。ご夫婦と息子さんの家族3人暮らし。夫婦ともに聴覚障がいがあり、夫婦は手話で会話していた。「先輩からは、『メモに書いてコミュニケーションを取って』と教わりました。コロナ禍でマスクをしていてお顔がしっかり見えない分、どの配達先でも皆さんと、会話をしていれば気持ちが伝わるなって感じていました。豊島さんとはいつも筆談していたのですが、あるとき欠品が発生して皆さんにあやまっていたなかで、文字ではなんとなく冷たくなってしまうんじゃないかと気がかりだったんです」どうしたら気持ちがきちんと伝illustration:MaikoDake12わるだろう……。塩田さんは考えた。………§………同じ週のある日、昼休憩のために止めたトラックの中で、塩田さんは自分のスマートフォンで手話のやり方を調べた。動画や画像を見て、基本的なあいさつを覚えてやってみることにしたのだ。「最初に覚えたのは『こんにちは』です。午後に早速、豊島さんのお宅への配達だったので、見よう見まねの手話であいさつしてみました。そうしたら、すごく驚いた様子でしたが、手をたたいて喜んでくださった」塩田さんは、初めて豊島さんの笑顔を見た気がした。その日を境になんだかとても距離が縮まった気がした。「『こんにちは』の次は『ありがとうございます』、『さようなら』、『今日は暑い』とか『寒い』とか、新しい手話を一個ずつ配達前に調べて覚えていきました。いつも豊島さんは笑顔で拍手してくれました。『またね』とか簡単な手話で返してくださって。ときどきちょっと間違えると、正しい手話を教えてくれました」この経験で塩田さんの仕事への意識は変化していった。「それまでは『コミュニケーションは会話』で、『会話』は『言葉のキャッチボール』だと思い込んでいました。だけど、キャッチボールするのは『言葉』ではなくて『心』だったんだ。何かを伝えたいという心が根源にあって、手段のひとつとして『声』や『言葉』がある。手段は言葉や声じゃなくてもいいんです」塩田さんは配達の中で、不在の組合員の皆さんに心をこめてメモを残すようになった。そうしていると組合員さんと会えたとき、すでに関係ができていることを感じた。「僕らの仕事は商品を届けること。課題もある。でも、商品と一緒に気持ちを届ける。配達の担当が僕で良かったなって思ってもらえたらうれしいですよね」異動が決まったとき、それを筆談で豊島さんに伝えた。手話で伝えるのはむずかしかった。「え?いなくなっちゃうの?」「次どこへ行くの?」最後の配達の日まで、2人のやり取りは続いた。塩田さんに豊島さんが教えてくれたことは、キャッチボールは、いつでもどんなふうにでも始められるということだった。過去の物語もこちらから読めますあなたのエピソードをお寄せください。コープ職員との心に残る出来事を随時募集しています。氏名・電話番号・組合員コードを記入し、郵便(〒336-8526埼玉県さいたま市南区根岸1-4-13コープデリ連合会コミュニケーション推進部宛)か、左記のWeb応募フォームよりお送りください。♦実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、読み物の形にまとめています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。イラストはイメージです。


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